しもやけって何?
朝布団から出るのが難しい季節、寒いです。今年は暖冬というけれど、暖冬でも冬は冬。やっぱり寒い毎日です。この寒さが大の苦手という方も多いことでしょう。
熊本市動植物園には様々な動物たちが展示されています。その出身地は、世界各地、寒い地方や暑い地方と様々です。寒い地方出身の代表はホッキョクグマやペンギン、暑い地方出身の代表はチンパンジーでしょうか。陸上で最大の動物であるアフリカゾウも暖かい地方出身の動物です。
アフリカ中部出身です
熊本市動植物園の2頭のアフリカゾウ、マリーとエリは1984年3月31日来園。南アフリカからやって来ました。当時の推定年齢はそれぞれ4歳と3歳。現在は39歳と38歳とされています。マリーとエリの竹採食の見学も人気コースの一つです。
マリーとエリはキバやシッポを見れば見分けられます。マリーはキバが少し長くシッポの先にふさふさの毛がありません。一方、エリのキバは少し短く、シッポの先には黒い長い毛が生えています。2頭が並んで子どもたちにお尻を見せているとき「ほら、シッポにふさふさがない方がマリーちゃんです。」と紹介すると、子どもたちは「マリーちゃーん!」と大きな声で名前を呼びます。
右からマリーとエリ
竹採食の見学に来た子どもたちには、「エリちゃんの方が器用でキバを上手に使って竹を折ったりするので、エリちゃんのキバは少し短い。」、「マリーちゃんは子どもの時にシッポの先がひどいしもやけになって、それから毛が生えなくなってしまった。」と説明しています。
そんな説明をしたある日、小学生のひとりが言いました。「しもやけって何?」
「しもやけってねえ、寒くなると手や足が冷たくなって、赤くなって腫れて血が出たりするのよ。温めるとやたらかゆくなったりもする。」と説明しながら、内心はとても驚いていました。わっ、最近のお子さんはしもやけって言葉さえ知らないんだ!!確かに家の作りも気密性が増して、昔よりずっと暖かい。しもやけになることもないから、しもやけになった家族や友達を見ないから、しもやけを知らないのも無理ないか・・・そんなことを考えてしまいました。
暖かくなったのは人間の家だけではありません。ゾウ舎も然り。動物園の動物舎も、昔は今よりもずっと暑さ寒さに対して厳しい環境であったそうです。2頭が来園した翌年(1985年)の1月の熊本市の気温を調べてみると、最低気温が氷点下の日がなんと23日もありました。特別に寒い冬だったようです。当時を知る飼育員さんにお聞きしてみると、そんな寒い冬に、当時の暖房設備でケアしたにもかかわらず、マリーのしっぽの先が赤く腫れ出血して、ひどいしもやけになってしまったということでした。
シッポが短くふさふさがない!
それ以来、マリーのしっぽの先には長い毛が生えてきません。夏季にうるさい虫を追いたいとき、「長いふさふさがあったらもっと上手に虫を追い払えるのになあ~」と思っているかもしれませんね。
快適な冬にぴょんぴょん
そんな中、バッタを発見!暖冬だから季節を間違えたたくましいバッタが成虫にまで成長したんだと思って調べたらツチイナゴでした。ツチイナゴは冬季にも成虫で過ごす虫です。しかし、暖冬の今冬は虫にとっても過ごしやすい冬なのかもしれません。
これからも、できるだけわかりやすい言葉で生き物の興味深い話をお届けしていきたいと考えています。
☆★資料館・津田★☆
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