鳴く虫展2020
今年の夏はコロナと猛暑のダブルパンチ。それでも、昨年展示した虫たちの子供たちが元気に育ち、この夏も8月8日(土)から『鳴く虫展2020』を資料館で開催しています。
「虫の声」の歌詞から始まる展示
『鳴く虫展』は、夏から秋にかけて草むらなどで聞かれる虫の声はどんな虫たちの声なのか、名前だけは知ってはいるけれどその姿や声はどのようなものか、実際の姿や声を皆さんに知っていただく目的で開催しています。
昨年も一昨年もホームページでお知らせしたり、新聞に取り上げていただいたりして多くのお客様に楽しんでいただきましたが、今年は「密を避ける」ためにホームページや新聞では紹介されていません。園内の入口等にポスターも張っておらず園内放送もしていないので、動物資料館にいらっしゃったお客様は来て初めて開催されていることに気づかれることになり、驚いたり喜んだり。
昨年は、鳴く虫の女王と呼ばれるカンタンが中心の展示でした。上皇陛下がカンタンのことを詠まれた歌会始の歌とともに入口の所にカンタンを展示し、そのあとに唱歌「虫の声」に登場する虫たちを中心に展示しました。
昨年は上皇陛下の歌とカンタンがお出迎え
今年は、同様に唱歌「虫の声」に登場する虫たちが中心の展示ではありますが、中でも一押しはクツワムシです。今年はクツワムシがたくさんかえったので、その成長過程の観察をまとめた「クツワムシの一生」の展示もしています。
産卵の写真から成虫になるまでを追った
「クツワムシの一生」
クツワムシの成虫には、体色が茶色い褐色型と緑色の緑色型があり、その中間型もいます。しかし、孵化したときはどの個体も鮮やかな緑色。卵が大きいことから想像はできますが、当然初齢幼虫もスズムシやコオロギの何倍も大きいのです。それが孵化後2週間もたつと黄色い個体が出現。「???」と思っている間に黄色い個体は茶色っぽくなり、緑色から茶色に変化した虫の数もどんどん増えていきます。最後には大部分が茶色くなり、緑色のまま成虫になるのは1~2割だったでしょうか。
孵化後の卵の殻(大きい!)
幼虫が出た穴が見える
あれあれ?黄色に変色した子がいる!!
これが褐色型と緑色型の正体です。同じ親の卵から生まれて同じ環境で飼育されているにもかかわらず異なる色になる、これには興味津々。いろいろ調べてみましたが、はっきりした理由の記載は見当たりません。これは来年のテーマだなと思いました。「虫」の先輩から「個別に飼うといいよ」とは聞いたものの、個別飼育でも茶色くなる虫は茶色くなりました。来年は、孵化した時点から厳密に条件を分けて体色の変化を観察したいと思います。
今年の『鳴く虫展』の会場はあまり広くなく、密を避ける目的から、昨年よりも少ない種類の虫たちの展示となりました。クツワムシ(褐色型と緑色型)のほかに、マツムシ、スズムシ、エンマコオロギ、ヒガシキリギリス、カンタン、カワラスズと7種類の虫を展示しています。
可憐な声が響きます♬
本当はクツワムシの機械が動いているかのような大きな声を聞いていただきたいのですが、真っ暗な夜中によく鳴く虫なのでなかなか思う時に鳴いてくれません。頑張っているのが、スズムシ、エンマコオロギ、ヒガシキリギリスとカワラスズです。それぞれ可憐な声を聞かせてくれています。「テープでも回しているのですか?」と聞かれたお客様もいらっしゃいました。
虫たちの写真もたくさん展示
今年は残念ながらガイドも飼育教室も虫の配布も行っていません。しかし、嬉しいことに『鳴く虫展』についての問い合わせをいただくことから、今月末までの開催予定を1週間延長して皆様をお待ちしております。
虫たちの柔らかな声を聞きに来られませんか?
☆★資料館・津田★☆
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