11月6日にサポーターズデイを開催しました。 「なんで動植物園にいるのかな?~保護された動物たち~」では、 普段お客様が入れない飼育管理センターで飼育している動物たちについてガイドを行いました。 ブログではガイドの内容を3回に分けて掲載していきます。
動植物園で飼育している動物はどこから来ていると思いますか? 先日SNSにて動植物園で生まれた仔ヤギを紹介しました。 このように園内で生まれる動物の他に、 保護され園内で飼育している動物たちもいます。
保護される動物は、 怪我をして野生復帰が難しい動物と おそらく元々ペットとして飼われていましたが、何らかの理由によって野外に出てしまい、 その後、警察が保護した動物です。 (現在、熊本市動植物園では警察からの拾得物を受け入れておりません。 ペットは最期まで責任を持って飼育してください。)
また、保護され園内で飼育されている動物の他に 園内をテリトリーとして生活している動物もいます。
今回は、このように何らかの理由で飼い主の所から動植物園に移り 生活している動物たちに焦点をあてガイドを行いました。
まずは、身近な動物編―
「ネコ」 最近では、2017年以降飼育頭数がイヌを抜いており、 ご自宅で飼われている方も多いのではないでしょうか?
園内にネコがいると ネコと動植物園の動物との間で、寄生虫や感染症などの感染の危険が互いに生じます。 その中でも、トキソプラズマ症という病気は以前当園のボリビアリスザルにおいて集団発症しました。
トキソプラズマ症は、トキソプラズマという原虫により引き起こされる感染症で、 経口感染(飲食物などに付着した病原体が口に侵入することによる感染)により感染する、 人獣共通感染症(人間にも動物にも感染する感染症)です。 人間が感染した場合、免疫が正常な人は発症しないこともありますが、免疫不全状態の人では死に至ることもあります。 しかし、リスザルや原猿類(キツネザルなど)、カンガルーは感受性の高い動物で、 感染し発症した場合、治療する間もなく死亡することが多いです。
トキソプラズマ症に感染している終宿主(寄生虫が有性生殖を行う宿主)であるネコの糞により 汚染された水や草などをリスザルが口にしたことが最初の感染だと考えられます。 また、トキソプラズマ症は中間宿主(幼生期の寄生虫が発育を行う宿主)間においても感染します。 そのため、感染リスザルから未感染リスザルに病気をうつしていった可能性が考えられます。
飼育管理センターでは、その時の唯一の生き残りであるシュウを飼育しています。 前述したようにこの感染症は免疫が正常な場合発症しないこともあるので、 シュウが感染していないのか感染しているが発症していないだけなのかはわかりません。 そのため、現在展示しているリスザルの群れと合流させることができず、 最期の時まで一匹で暮らさないといけなくなってしまいました。
園内では野良ネコが繁殖することもあります。 そうすると、次は他の野良ネコや動植物園の動物から仔ネコに寄生虫や感染症がうつってしまうかもしれません。 そして、またその仔ネコから動植物園の動物にうつるといった負の連鎖が続いていってしまいます。
そのため、ネコは完全室内飼いをし、野良ネコには餌やりをしないことが大事になります。 室内飼いに関しては運動不足を懸念する声のあるかもしれませんが、 キャットタワーを準備したり猫じゃらしで遊んであげたりすれば十分に運動させることができます。
次回は、「流行のエキゾチックアニマル編」 |