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チンパンジーの赤ちゃん誕生 ~生 と 死~

2015年7月15日(水)

本日は、おめでたいお知らせと悲しいお知らせを

同時に報告させていただきます。

 

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何度もチンパンジー愛ランドに足を運んでくださり

ユウコの出産を心待ちにしてくださっていたお客さま。

ユウコのおなかがすっきりしていることに気づいたお客さま。

いろいろ気遣って声をかけてくださった方々へ。

 

平成27年7月5日(日) AM7:30

チンパンジーの一卵性双生児の赤ちゃんが

生まれているのを確認しました。

母はユウコ父はマルク

 

 

これまで出産経験はあるけど、子育て経験はないユウコ。

 

彼女が安心して出産・子育てできるように

半年以上前から皆で話し合い、計画をたててやってきました。

 

 

出産予定日は8月9日

それに向けて準備してきたのですが

予定日より1ヶ月も前となる出産

それも、双子。

 

朝、母のユウコは、両手で小さな2人を抱えていました。

男の子は、すでに動かなくなっていました。

首に臍帯が幾重にも絡んでいて、亡くなっていました。

 

生きている子を抱えたまま

動かない子を指先でつついて促す姿に

ユウコの母性を感じると同時に、とてもせつなくなりました。

 

 生き残った女の子は、これからどうなるのか。

もちろん、チンパンジーの母親が子育てするのが1番。

チンパンジーとして生きていくために必要な知識や行動を

母親から、そして群れの中で学んでいく必要があります。

 

チンパンジーとして生きていってほしい。

人工哺育(人が代用乳などで育てる)で育った こどもの多くが

子育てを知らない大人となって育児放棄してしまい

そのこどもがさらに人工哺育となってしまう現実もあります。

 

 

ユウコに小さい手足でしがみついているのをみながら

この子の体力があるうちに、ユウコがうまく授乳してくれればと

祈るように見守っていました。

 

しかし、翌日の7月6日。

授乳できないまま、女の子は衰弱。

泣き声もほとんどあげなくなり、手足も下垂。

他に気をとられた母親が、しばらく放置する様子もみられました。

ただでさえ未熟な体、このままでは母親が授乳を憶える前に

今日明日中に亡くなることは明らかでした。

 

 

やむをえず、こどもの命を優先し、人工哺育へと切り替えました。

低体温、低体重(990g)、チアノーゼ。

予定日より1ヶ月前の出産のため

体は未熟で、体温調節もままならず。

人工哺育器で、はじめは2時間おきにブドウ糖。

翌日から、3時間おきに人用ミルクを飲ませ始めました。

 

 

泣き声やしがみつく力も弱く、発疹がでたり発熱したりと

このまま生きていけるのか、心配な子でした。

 

それでも、おなかをこわすこともなく

少しずつ哺乳量も増えてきました。

 

 

しかし、日齢10日。

本日、7月15日(水)

 

夜中に状態が急変し、亡くなりました。

 

 

最後までがんばってミルクを飲んで、生きようとしていました。

 

瞳はユウコ似の、かわいい子でした。

 

 

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 生後10日齢でなくなった彼女が

それでもがんばって生きた軌跡を

7月18日(土)のイベント時に、お伝えしたいと思います。

 

 

 そして、最後になりましたが

彼女を応援し、支えてくださった関係者の皆さまがた

深く、深く感謝申し上げます。

 

ありがとうございました。

 

 

 

チンパンジー班:竹田 正志、福原 真治、上野 明日香

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