キンシコウへの誘(いざな)い Vol.2
平成5年10月2日に、中国西安動物園から飼育係の胡楊さんと獣医師の沈管成さんがやってきました。胡さん45歳。沈さん33歳。滞在期間は半年です。
最初の対面の時は、緊張しましたが、お二人ともとても優しい方で、安心しました。
木の葉準備中の胡楊さん(右)・沈管成さん(左)(キンシコウ舎放飼場)
週に一度、キンシコウ飼育のミーティングを開くことになりました。熊本からは永田副園長(役職は当時のもの)、松崎係長、そして担当の川上主任、そして私。もちろん通訳を介してです、通訳は市の国際交流課今村氏、上田さん達でした。
戸惑いもありましたが、ミーティングは順調に行きました。
宝々(パオパオ)にグルーミングを行なう貝々(ベイベイ)
すぐに覚えた言葉「メイヨウ、ウェンティ」問題ないという意味です。飼育する上で心配の種があると、ミーティングで包み隠さず話します。すると胡さんが言うのです。「メイヨウ、ウェンティ!メイヨウ、ウェンティ!」
これには、ほっとしました。
適当ではなく、キンシコウ飼育経験が長い胡さんだから言えることなのだとすぐにわかりました。
口をあけて威嚇する宝々
それでも、キンシコウの飼育には細心の注意を払いました。
飼料は全て量を測り、与えました。リンゴ何グラム、みかん何グラム・・・
飲み水も同様です。週に一度ビタミン剤や塩、砂糖を添加します。
キンシコウ1頭分の夕食(個体ごとにグラム単位で計量)
この辺まだいいほうで大変なのは木の葉です。園内の木の葉を与えるのですが、これも枝をもって食べやすい大きさに切って量ります。食べ残した枝を量り、食べた量を計算します。木の葉は日持ちしないので、毎日枝切りをしなければなりません。水にさしたり、後で打ち水をしたり・・・時間がいくらあっても足りないくらい。
便も全て回収です。量を測り、虫卵検査を毎日します。当初から鞭虫卵が顕微鏡で確認されましたので、定期的に駆虫をすることなどを確認し合いました。
食事中の宝々と貝々(大好きなムクの実を食べる)
お二人は動物園近く歩いて5分位のアパートに住まれることが決まっていたので、事前に私たち飼育係で準備しました。
炊飯器や鍋や食器やフライパン等など!
貝々
熊本の伝統!飼育は信頼関係から!そのためには「飲みにケーション」この辺のくだりは次回で!
<キンシコウへの誘(いざな)い Vol.3につづく> |